Give me a 助け舟! [口述試験]
口述模試や練習会に参加してみて、口頭試問中、助け舟(試験官からのヒント)がほしいと感じた瞬間はありませんでしたか?最近の本試験の傾向として、軌道修正となる質問はなされても、直接正解のヒントとなる助け舟はあまり出さないようになってきたと感じます。そこで今回は、助け舟についてです。
★助け舟もらえそう?
助け舟がもらいにくい質問として「基本的な事項」や「過去に出題されたものと全く同じ問題」などがあります。おそらく、「もちろん知っているよね? 過去問もチェック済みだし、(予備校の作った)答えも見ているわけだから…」という感じなのでしょうか?(勝手な想像ですが)。
一般的な傾向として…(といっても試験官のパーソナリティーに因るところが大きいですが)
(助け舟が 来そう⇔来なさそう の順)
・問題が 応用レベル ⇔ 基本レベル (知ってるはず)
・過去に出題が ない ⇔ あり (知ってるはず)
・受験生のその問題に対する回答が 「惜しい、あと一歩」 ⇔ 「いまいち」
・受験生の今までの回答から察するに 「実力ありそう」 ⇔ 「不理解が目立つ」
・受験生に対する全般的な心証が ポジティブ(受かってほしい) ⇔ ネガティブ(もっと勉強すべし)
★助け舟をもらうには?
青本の記載どおり、条文どおり答えられればよいけれど、そう上手くいくことのほうが少ないですよね。答えがわからないときは、自分の記憶を辿って、何か言ってみる。助け舟を引き出せるかもしれません。
①思い当たる関連事項を答えてみる
→正答にかすっている、部分点レベルの内容なら、何か手がかりがもらえるかも。
②自分の理解を伝える
→自分の言葉に置き換えて回答することは好ましくないですが、自分が概ね理解していることは試験官に伝わるかもしれません。「何とかしてあげよう」という気になってくれるかも。
「条文を参照してもよろしいですか」や「失念しました」は最後の手段。「自力ではムリです」と言っているようなものだから。前者は参照すればヒントが得られるわけですが、後者は助け舟がくることを祈るしかない。もちろん、沈黙(10秒以上無言)や「わかりません」と言ってしまうのは自ら白旗を揚げる行為だし、逆質問(試験官に「これは~という意味でしょうか?」と聞き返す)は厳禁です。
★条文参照が使えない→助け舟待ち
条文を参照してはいけない事項、それは、覚えていないと答えられない事項です。たとえば、
①青本の内容:定義趣旨、用語説明等
②審査基準の内容:意匠の要旨の定義、商標の周知性うんぬん等
③判例
条文を見れば分かるものは、条文の参照をお願い(して許可されれ)ば、条文(答え)を確認した上で答えられるわけですが(といっても条文を参照しなからの回答は不可で、条文集を閉じて条文集から手を離した後で回答する必要があります)、条文を探してもどこにも書いてない事項は覚えていないと、自分の中から絞りだすのはかなりきつい。
こういった条文のどこを探してもヒントもない問題こそ、わからない時は助け舟がほしい。しかし、誤って「条文を参照してもよろしいでしょうか」と言ってしまうと、致命的です。なぜなら「答えるべき事項の出典元も分からないということは、勉強が不十分」という心証を与えかねないからです。助け舟を出す気が失せてしまいます。
★具体例
過日の口述再現記事でご登場いただいた知人に再度お願いし、再現を比較してみました(なお、条約が出題された某日の特実です)。
<助け舟なし>
Q. わが国(の実用新案法)においては図面の提出が必須なのに、国際出願では図面を提出しなくてもよいというのは矛盾していると思いませんか?
A. 各国の自由なのだと思います。
Q. (「思います」か…知らないのかな?) では、それは何条に規定されていますか?
A. ・・・法文を見てもよろしいでしょうか?
Q. どうぞ。
A. 特許協力条約の7条(2)(ii)です。
Q. そこには、何と規定されていますか?
A. 指定官庁は、出願人に対し、図面を提出することを要求することができる、と規定されています。
Q. そうですね。
<助け舟あり>
Q. 条約上、図面は必須の書面ではないと思いますが、国際実用新案登録出願で提出を求めているのは矛盾していませんか?
A. 条約上、図面を求めるか国ごとに判断してもよいこととなっているため、問題ありません。
Q. (理解は伝わるけど) もう少し正確に言ってください。条文を見た方が。
A. ・・・(たまたま内容は知ってたけど、条文の位置までは…ギブアップかも)
Q. (あと1歩なんだけど、ダメか…) PCTの7条なので… (と、助け舟)
A. (条文を参照し)指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができるとあるので、問題ありません。
Q. そうですね。
本番が近づくにつれ、口述試験に臨む者にしかわからない不安感がどんどん強くなってくるかと思います。どれだけ勉強すれば合格ラインに達するのかわからない、いくら頑張っても受からないんじゃないか、運悪くマニアックな問題に当たったらどうしよう…、そういった不安はライバル達も同じこと。
過去の受験新報に「口述試験というのは一生で一度の貴重な体験であって、論文試験をパスした者のみ受験することが許される特別な試験だから、光栄なことと思って胸を張って挑んでほしい。」という記事*がありました。ここ(口述試験)を通過しなければ最終合格はありえない。誰もが通る道。だから、このステージまで到達した自分自身に誇りを持って、自分を信じて、当日を迎えてください。
*引用:弁理士受験新報 No.69(2010年10月号)
★助け舟もらえそう?
助け舟がもらいにくい質問として「基本的な事項」や「過去に出題されたものと全く同じ問題」などがあります。おそらく、「もちろん知っているよね? 過去問もチェック済みだし、(予備校の作った)答えも見ているわけだから…」という感じなのでしょうか?(勝手な想像ですが)。
一般的な傾向として…(といっても試験官のパーソナリティーに因るところが大きいですが)
(助け舟が 来そう⇔来なさそう の順)
・問題が 応用レベル ⇔ 基本レベル (知ってるはず)
・過去に出題が ない ⇔ あり (知ってるはず)
・受験生のその問題に対する回答が 「惜しい、あと一歩」 ⇔ 「いまいち」
・受験生の今までの回答から察するに 「実力ありそう」 ⇔ 「不理解が目立つ」
・受験生に対する全般的な心証が ポジティブ(受かってほしい) ⇔ ネガティブ(もっと勉強すべし)
★助け舟をもらうには?
青本の記載どおり、条文どおり答えられればよいけれど、そう上手くいくことのほうが少ないですよね。答えがわからないときは、自分の記憶を辿って、何か言ってみる。助け舟を引き出せるかもしれません。
①思い当たる関連事項を答えてみる
→正答にかすっている、部分点レベルの内容なら、何か手がかりがもらえるかも。
②自分の理解を伝える
→自分の言葉に置き換えて回答することは好ましくないですが、自分が概ね理解していることは試験官に伝わるかもしれません。「何とかしてあげよう」という気になってくれるかも。
「条文を参照してもよろしいですか」や「失念しました」は最後の手段。「自力ではムリです」と言っているようなものだから。前者は参照すればヒントが得られるわけですが、後者は助け舟がくることを祈るしかない。もちろん、沈黙(10秒以上無言)や「わかりません」と言ってしまうのは自ら白旗を揚げる行為だし、逆質問(試験官に「これは~という意味でしょうか?」と聞き返す)は厳禁です。
★条文参照が使えない→助け舟待ち
条文を参照してはいけない事項、それは、覚えていないと答えられない事項です。たとえば、
①青本の内容:定義趣旨、用語説明等
②審査基準の内容:意匠の要旨の定義、商標の周知性うんぬん等
③判例
条文を見れば分かるものは、条文の参照をお願い(して許可されれ)ば、条文(答え)を確認した上で答えられるわけですが(といっても条文を参照しなからの回答は不可で、条文集を閉じて条文集から手を離した後で回答する必要があります)、条文を探してもどこにも書いてない事項は覚えていないと、自分の中から絞りだすのはかなりきつい。
こういった条文のどこを探してもヒントもない問題こそ、わからない時は助け舟がほしい。しかし、誤って「条文を参照してもよろしいでしょうか」と言ってしまうと、致命的です。なぜなら「答えるべき事項の出典元も分からないということは、勉強が不十分」という心証を与えかねないからです。助け舟を出す気が失せてしまいます。
★具体例
過日の口述再現記事でご登場いただいた知人に再度お願いし、再現を比較してみました(なお、条約が出題された某日の特実です)。
<助け舟なし>
Q. わが国(の実用新案法)においては図面の提出が必須なのに、国際出願では図面を提出しなくてもよいというのは矛盾していると思いませんか?
A. 各国の自由なのだと思います。
Q. (「思います」か…知らないのかな?) では、それは何条に規定されていますか?
A. ・・・法文を見てもよろしいでしょうか?
Q. どうぞ。
A. 特許協力条約の7条(2)(ii)です。
Q. そこには、何と規定されていますか?
A. 指定官庁は、出願人に対し、図面を提出することを要求することができる、と規定されています。
Q. そうですね。
<助け舟あり>
Q. 条約上、図面は必須の書面ではないと思いますが、国際実用新案登録出願で提出を求めているのは矛盾していませんか?
A. 条約上、図面を求めるか国ごとに判断してもよいこととなっているため、問題ありません。
Q. (理解は伝わるけど) もう少し正確に言ってください。条文を見た方が。
A. ・・・(たまたま内容は知ってたけど、条文の位置までは…ギブアップかも)
Q. (あと1歩なんだけど、ダメか…) PCTの7条なので… (と、助け舟)
A. (条文を参照し)指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができるとあるので、問題ありません。
Q. そうですね。
本番が近づくにつれ、口述試験に臨む者にしかわからない不安感がどんどん強くなってくるかと思います。どれだけ勉強すれば合格ラインに達するのかわからない、いくら頑張っても受からないんじゃないか、運悪くマニアックな問題に当たったらどうしよう…、そういった不安はライバル達も同じこと。
過去の受験新報に「口述試験というのは一生で一度の貴重な体験であって、論文試験をパスした者のみ受験することが許される特別な試験だから、光栄なことと思って胸を張って挑んでほしい。」という記事*がありました。ここ(口述試験)を通過しなければ最終合格はありえない。誰もが通る道。だから、このステージまで到達した自分自身に誇りを持って、自分を信じて、当日を迎えてください。
*引用:弁理士受験新報 No.69(2010年10月号)
最終試験に臨む方々に頑張って欲しいですね。
by PATA (2011-10-07 22:09)
PATA様★
最終試験(口述試験)は「ザ・プリンス パークタワー東京」で行われるのですが(高級ホテルだし場所代いくらかかっているのでしょう?)、受験から1年経った今でも、あのホテルには行きたくありません。。
by macaron*ia (2011-10-10 07:14)