口述・よくある問題パターン [口述試験]

最後の追い込みですね。直前は集中力が高まっているので、自分でも驚くくらい知識が頭に浸透していくし、条文も高速でまくれます。今回は、口述でよく出る問題パターンについてです。

★条文そのまま再現
いわゆる「条文暗唱」型ですね。「○○について条文に即してお答えください/○○はどのような規定ですか?」や「○条について説明してください」などと訊かれ、回答が条文そのものになるものです。昨年(2010年)も特29条(4日目午前)や意5条(2日目午前)などを訊かれていました。短い条文は結果として完璧に再現することになりますが、一字一句再現できることを要求しているというよりも、内容を理解しているかを問うているのだと思います。なぜなら、

①「及び/又は」の係り方までしつこく突っ込む箇所は、完璧な再現を要求しているのではなく、「及び/又は」の位置が違ったり、「及び」と「又は」を取り違えてしまうと意味が変わってしまうから。
たとえば、意匠の定義について訊かれて、「物品の形状、模様、色彩…」と答えた場合は「及び(すべて揃っているとき)」なのか「又は(いずれか1つでよい)」なのかが分からないし、「物品の形状、模様、色彩又はこれらの結合…」だと、「形状、模様、色彩
」の3つは並列だけど「これらの結合」は左記の3つとはタイプが異なるものだということが分かっていないと思えてしまうから(なお、正しくは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合…」)。

②長い条文は100%再現できてなくてもOKしているのは、pointが条文どおりなら理解していると分かるから。短答・論文でよく目にした条文であれば、pointはなんとなく頭に入っていると思います。たとえば、意26条2項を訊かれて(5日目午前)、以下の色文字部分を拾いつつ回答した場合、
「意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠特許発明若しくは登録実用新案利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠特許実用新案若しくは商標若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠実施をすることができない。」
つなぎの「てにおは」が条文どおりでなくても、主要な箇所が合っているのでOKがもらえるように思います。仮に少々抜けた部分があれば助け舟による確認(たとえば「誰が、ですか?」→「意匠権者、専用実施権者…です」など)ですむような気がいたします(試験官によります)。(意匠権の権利範囲は「類似する意匠」までであること、特許「発明」等を「利用」で、特許権等の「権利」が「抵触」であることを間違えると痛手ですが)

★理解・解釈してないと答えられない事項
事例問題がその典型です。口頭説明もしくは「目の前(に伏せてある)パネルを開いてください」と促され、提示された事例に対して「どうなりますか?」と結論を訊くものです。

たとえば、以下のような問題です(2008年2日目午前・商標)。
質問:甲会社は指定商品「バター」について登録商標「パテ丸バター」を有している商標権者です。甲会社は風味がバターそっくりのマーガリンを製造することに成功し、販売を開始しました。この条件で資料(受験生の目の前に裏返しに置かれたパネル)を見てください。
パネルの内容:「商標:Newパテ丸バター、使用商品:マーガリン」
質問:この場合、甲会社は不正使用取消審判で商標登録を取り消される可能性はありますか? その理由は?


昨年(2010年)は、前置審査(前置審査での補正の取り扱い、2日目午前)、新規性の判断(優先権主張を伴う特許出願の新規性の判断基準時、4日目午前)、意匠権の利用(利用関係にある後願者の取りうる措置、5日目午前)が問われていました。
事例問題は初見の問題になるので、(短答や論文では)スムーズに答えられるレベルであっても、混乱しがちです。これは、緊張で極限状態の上、ペーパーテストと異なり自分のペースで考える時間がないことと、覚えたことを吐き出すのではなく自分の解釈を示す必要があり、自分の判断に自信が持てなくなるからだと思います。考えれば分かるレベルから、当たり前のように理解しているレベルまで引き上げておく必要があります。

★昔からメジャーな「定義・趣旨」
「○○の趣旨をお答えください」という質問です。これまで特実ではほとんど出題されていませんが(今年はフェイントかけてくるかも)、意・商では毎年何かしら出題されています。昨年(2010年)は関連意匠(1日目午前)、秘密意匠(3日目午後)、地域団体商標(4日目午前)などメジャーなテーマから、意匠権の間接侵害(2日目午後)、商4条(1日目午前)など論文では趣旨をあまり意識しないテーマも出題されていました(昨年の意匠・商標の出題項目リストはこちら→リンク)。
数十行書く論文とは異なり、口述は簡潔な回答(論文の文字数だと1~3行程度)でよいと思います。長く答えると、余計な部分に対して要らぬ質問をされかねないので。回答に不足(keywordもれ)があれば、追加の質問がくるはずです。

弁理士試験は実質「出来レース」(あらかじめ合格者数は政策的にだいたい決まっている)なので、昨年と同じ傾向の問題を出題したら、対策ができている今年の方のクリア率は高くなりますよね。そこで今年はまた傾向を変えてくるかなと勝手に思っています。
例えば同じ定義趣旨でもストレートな質問ではなく、今年の論文の意匠のような変化球で難易度を上げてくるかもしれません。また、事例問題は緊張のあまり「落ち着いて考えれば答えられたのに…」を誘発しやすいので、出題者としては受験生を振るいやすいかもしれません。そんな出題者に屈しないための最善策は、基本に戻る(条文&青本の読み込みと理解)だと思います。「条文に始まり、条文に終わる」、法律学習のスタンダードですね。

*参考文献:速報メール/速報ブログ(プログレッジ、GSN、吉田ゼミ 順不同)、口述アドヴァンステキスト(LEC


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pandan

最後の追い込みなんですね、
がんばってください〜
by pandan (2011-10-10 06:57) 

PATA

基本に戻る、これ大事ですね。
by PATA (2011-10-10 14:26) 

macaron*ia

pandanさま★
追い込み期は精神的にはきついものの、いつも以上のパワーが出ますね。

PATAさま★
つまづいた時、迷った時、不安を感じた時…最後は原点に戻るのが近道と思います。
by macaron*ia (2011-10-10 22:23) 

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